203.会社が永続して発展し続ける条件とは?(その7)「後継者育成」
2019/12/04
どこの企業でも後継者を育てる事はとても大きなテーマです。
特に日本では、中小企業の休廃業が年間4万件を超える「大廃業時代」と言われ、127万社が後継者未定、つまり次世代のリーダーが育ってない現状があります。
前回はビジョナリー・カンパニーの6つ目の特徴「大量のものを試して、うまくいったものを残す」について触れました。
第7回目の今回は、「生え抜きの経営陣」についてです。
まずは象徴的な例として、GEが取り上げられていました。
GEといえば、ジャックウェルチという元最高経営責任者(CEO)を思い出しますが、実はGEの歴代CEOもウェルチに負けず劣らずの業績を残し、100年以上素晴らしい経営者を輩出し続けてきたとのこと。
その秘訣は、
後継者選任の過程にあり、多数の候補者から1人を選ぶのに何年も費やし、最後は論理的な判断だけに頼るといったものでした。
それに対してビジョナリー・カンパニーとの比較企業では、経営トップの混乱や断絶が起こった時期があり、よって時に社外からCEOを招聘している点や、平均在任期間が短い等の共通点があり、言い換えると経営幹部の育成と後継計画に関する関心が低い企業が多いとの事でした。
例えば
・昔コルゲートは並外れた企業だったが、P&Gと差をあけられた原因の一つに後継計画が貧弱で失敗した
・ゼニスの創業者は優秀で傑出したワンマン経営者だったが、死亡した時にまともな後継者が育てていなかった。その後何回も短期間でトップが交代し、社外からCEOを招聘するも安定しなかった
逆にGE以外のビジョナリー・カンパニーの成功例としては、
・モトローラは複数によるチームで首席業務執行室をつくり、有能な生え抜きの人材がいつでも会社を指導する立場に立てるようにした結果、一度も断絶なし
・ディズニーはウォルト・ディズニーが有能な後継者を育成してこなかったが、基本理念に合った後継者を外部から選んだ結果乗り越えた
等々。
社外人材を経営者にした比率
ビジョナリー・カンパニー11.1%、
比較企業は72.2%
これは大きな差異と言えるでしょう。
ビジョナリー・カンパニーの経営者は基本理念を維持しながら影響を与えている存在で、優秀な経営者の継続性が保たれています。
これが断たれると、外部からトップを招き、基本理念から離れる事になります。
比較企業よりはるかに、社内の人材育成に力を入れ、昇進させ、経営者としての資質を持った人材を注意深く選択する。
言い換えると、後継者の育成を基本理念を維持する努力の柱にしているのがビジョナリー・カンパニーの共通点。
このシリーズの(その1)で触れた
「時を告げるのではなく時計をつくる」にあったように、
企業が永続発展するためには、商品・サービス以上に会社そのものが作品であるという考え方の要が、「後継者育成」だと繋がってきました。
さて、皆さんの会社は、そんな視点で人材育成に注力されていますか?
次回はいよいよビジョナリー・カンパニーシリーズ最終回となります。
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